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- 2025.12.08
- トレーニング
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トレーニング初心者の方にヒップスラストを推奨しない理由
「ヒップスラスト最強論」が生まれた背景と、その誤解
近年、日本のフィットネス界で異常なほど流行している種目がある。それが「ヒップスラスト」だ。SNS では“お尻が上がる最強トレーニング”“これだけやっていれば美尻になる”と拡散され、YouTube でも必ずと言っていいほど紹介される。だが、Sun UP の現場で身体を見続けていると、ある事実に気付かされる。
初心者、特に女性の多くは、ヒップスラストを正しく効かせる身体の準備が圧倒的に不足している。そして最も深刻なのは、ヒップスラストが“悪い種目”ではないにも関わらず、その人の身体の状態と噛み合わないことで、脚太りや腰痛が悪化してしまうことが非常に多いという現実だ。
ヒップスラストは本来、骨盤と股関節のコントロールができ、殿筋(大臀筋・中臀筋)が適切に機能し、胸郭・体幹の安定性がある“中級者以上”が扱うべきトレーニングである。これは海外のスポーツ現場や研究からも示されている。しかし、日本では「これをやれば誰でも垢抜けるお尻が手に入る」と誤って認識されてしまった。Sun UP の現場では逆の現象が起きている。ヒップスラストを始めてから、
- 太ももがパンパンに張り続ける
- 腰が痛くなった
- お尻に効いている感覚がまったくない
-
むしろ脚が太くなったように見える
こう訴える女性が後を絶たない。なぜこうなるのか。原因は明確に存在する。それが 姿勢と股関節の機能不全だ。
反り腰 × 股関節不全の女性は“ヒップスラストが効かない身体”である
Sun UP に来られる女性の70〜80%は、以下の特徴を持っている。
- 骨盤前傾(反り腰)
- 肋骨の前方開き(リブフレア)
- 股関節の屈曲制限
- 大腿四頭筋(前もも)の過緊張
- 中臀筋の機能不全
- 内ももの非活動化
これは“日本人女性の典型パターン”とも言える。この状態でヒップスラストをすると、身体は次のように反応する。本来お尻が使うべき力を 太もも前・外もも・腰が代わりに使ってしまうのだ。
■ 反り腰の構造がもたらす悲劇
反り腰は骨盤が過度に前傾している状態である。すると、
- 股関節が正常な角度で折れない
- 大腿骨が前方に滑る
- お尻が伸びきったポジションで固定される
- 腰椎の伸展(反り)でバーを持ち上げてしまう
結果は明確。→ お尻は働かず、脚と腰だけが疲れる。
ヒップスラストのはずが“脚トレ+腰トレ”になってしまうのだ。お尻を育てるどころか、脚太りと腰痛の原因を強化している。
第2章:殿筋は“眠っている”筋肉であり、技術が必要な筋肉である
一般女性の殿筋は、デスクワーク・運動不足・姿勢の崩れにより機能低下している。Sun UP のデータでは、初回評価で 殿筋が適切に点火している女性はわずか10%未満である。殿筋は本来、
- 股関節の伸展
- 骨盤の安定
- 外旋・外転のコントロール
と多くの役割を担うが、現代人の生活ではほとんど使われない。
その結果、
- 太もも前が支配的
- 腰椎が過緊張
- お尻は常にオフのまま
になっている。この状態のまま、「ヒップスラストはお尻に効くからやりましょう」と指示されても、殿筋が使えるはずがない。殿筋が眠ったまま、脚と腰が代償し続ける。
第3章:ヒップスラストは“技術が非常に多い種目”である
ヒップスラストは見た目は簡単だが、実は最も技術が必要なトレーニングの1つである。
■ お尻に効かせるために必要なスキル
- 骨盤のニュートラル〜後傾の操作
- 呼吸による腹圧の調整
- 胸郭と骨盤の連動
- 大腿骨の外旋コントロール
- 足裏荷重の調整
- 代償動作の抑制
これらが1つでも崩れると、お尻は働かない。つまり、初心者がヒップスラストで成果を出すには ほぼ不可能に近い量の技術習得が必要なのだ。にもかかわらず、日本のフィットネス界では「初心者でもこれやっとけ」と平気で言われてしまう。本来あり得ない話だ。
第4章:Sun UPがまずやるのは“お尻を使える身体”をつくること
Sun UP が初心者にヒップスラストを使わない理由はシンプル。姿勢が崩れている身体に負荷を乗せると、歪みを強化するだけ。だからまずは以下を整える。
✔ 呼吸の修正(横隔膜が動く身体)✔ 骨盤の位置調整(反り腰改善)✔ 股関節ヒンジ習得✔ 中臀筋の点火✔ 内もも・骨盤底筋の活性化
✔ 足裏〜股関節の連動性回復
このステップを踏んだ女性は、ヒップスラストをやらなくても
- お尻が上がる
- 腰痛が消える
- 脚の張りが取れる
- 重心が整う
という変化を確実に感じる。Sun UP の基本方針は “まず整える、次に鍛える”。
第5章:初心者はこれをやれば十分。ヒップスラストは最終ステップ
初心者が最優先でやるべきは以下である。
■ ステップ1:呼吸 腹圧を作れなければお尻は使えない。
■ ステップ2:ヒンジ 股関節で曲がる感覚がないとヒップスラストに入れない。
■ ステップ3:中臀筋 殿筋群のスイッチを入れる。
■ ステップ4:内もも 骨盤が安定し、外ももの張りが取れる。
■ ステップ5:グルートブリッジ ヒップスラストの軽量版。これで十分お尻は育つ。
正しくこのステップを踏んだ人だけが、ヒップスラストを安全に、効果的に扱える。
結論:ヒップスラストは最強。だが初心者がやるべきではない。
ヒップスラストそのものが悪いのではなく、「身体ができていない段階で行うこと」が問題である。あなたの身体が今必要としているのは、派手なトレーニングではなく、土台を整えること。使えていない筋肉を呼び起こすこと。姿勢を正し、股関節を取り戻すこと。それが結果的に、最も早く、最も綺麗に、お尻が育つルートである。
“正しい順番で鍛えれば、誰でもお尻は育ちます



